真実と虚像の硲2
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いけ好かない奴。 それが、最初に『工藤新一』を見た時の印象だった。 1、 「また、お前か――」 眉間にしわを寄せながら、些かげんなりした表情を浮かべて言った男は、海よりも深い溜息をついた。 それにつられるように小さく息をついたコナンは、ふいっと横を向くと「それは、こっちのセリフだよ」とぼそりっと呟いた。 大阪在住のはずの、西の高校生探偵こと服部平次と、この数か月の間に東京で鉢合わせたのは、これで三回目だった。 普通に街を歩いていたとしても、地元の知り合いに会う事すら稀だというのに、一体どういう確率で鉢合わせるというのか――。 くしゃりっと前髪をかき上げたコナンは、参ったというように天井を見上げた。 まあ、ここは事件現場なのだから、『服部平次』が探偵だというのなら、そんな話も通らなくはないとは思う。 最初に会ったのは、ちょうど工藤新一に戻っていた時で、その流れで『工藤新一=江戸川コナン』だという事はバレてしまっていて。そんな気安さから、二度目に会ったときは、軽い気持ちで声をかけた。 最初に会った時、自分と同じペースで推理できる人間に会ったのは初めてだと感じた。そんな印象は、次に会った時にも変わらなくて、コナンはこの『服部平次』という男に興味を持ったのだ。 だが、その時も平次の態度はこんな感じだった。 別に何か、平次にとって都合の悪いことをした覚えなどない。にもかかわらず、ここまであからさまに嫌な顔をされれば、こちらも態度が硬化するというものだ。 それに――。 「また、性懲りもなく事件に首を突っ込んどるんか? 工藤新一クン」 どこか小馬鹿にしたように言った平次に、コナンは眉間に深いしわを寄せながら口を開いた。 「その名前で呼ぶなよ」 「何であかんのや? 自分、工藤新一なんやろ? せやったら別にええやん」 ■ 真実と虚像の硲2 ■ A5オフ 36P 平新 イベント販売価格 ¥400 Novel 綾部 澪