真実と虚像の硲

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それは単なる気まぐれだった。 0、 「へー。東京にもお前みたいなヤツがおるんやなぁ」  雑誌をぺらぺらとめくりながら言った世良田は、ちらりっと平次に視線を向けた。  世良田の言葉に、平次はチラリっとそちらを見やった。だが、すぐに興味をなくしたように窓の外に視線を戻した。  そんな平次の態度に諦めにも似た溜息をついた世良田は、ずいっと平次の顔を覗き込んで言った。 「おーい。無視か?」 不服そうに言った世良田に、平次は小さく息をついた。  世良田とは、小学校のころからの付き合い――要するに腐れ縁というやつなのだが。  長い付き合いだから、きっとその話したい内容というヤツも大した事ではないのは分かっていたけれど。世良田の性格からして、こうやって無視すれば意地でも平次が話を聞くまで食い下がるであろう事は想像に易かった。  仕方なさそうに世良田に視線を向けた平次は、ゆっくりと口を開いた。 「だから、なんやっちゅうんや」 「いや? 興味ないんかなーと思って」  言いながら目の前に突き出された雑誌。  そこには、高校生探偵がどうのというような見出しが躍っていた。  眉間にしわを寄せた平次は、ふいっと視線を外すとぼそりっと呟いた。 「ないな」  そんな平次に、世良田は大げさに驚いてみせた。 「せやかて、高校生探偵やで?」 「あほらし。探偵がそない有名になってどないすんねん。面われたら、めんどうでしゃーないやろ」 「そないなこと、ゆうてもええんか? お前の名前も出てんで。ほれ、西の高校生探偵やて」  雑誌をずいっと突き付けながら言った世良田に、平次は仕方なさそうに視線を向けた。  そこには、工藤新一という高校生が数々の難事件を解決しているというような記事があった。その片隅に書かれていた、関西にも高校生探偵がいるというような文面。世良田が言ったのは、これの事だろう。 「……」 「面白くないっちゅう顔しとるな」  にやりっと笑いながら言った世良田に、平次は馬鹿馬鹿しいというように溜息をついた。 ■ 真実と虚像の硲 ■ A5オフ  20P  平新 イベント販売価格 ¥300 Novel 綾部 澪

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それは単なる気まぐれだった。 0、 「へー。東京にもお前みたいなヤツがおるんやなぁ」  雑誌をぺらぺらとめくりながら言った世良田は、ちらりっと平次に視線を向けた。  世良田の言葉に、平次はチラリっとそちらを見やった。だが、すぐに興味をなくしたように窓の外に視線を戻した。  そんな平次の態度に諦めにも似た溜息をついた世良田は、ずいっと平次の顔を覗き込んで言った。 「おーい。無視か?」 不服そうに言った世良田に、平次は小さく息をついた。  世良田とは、小学校のころからの付き合い――要するに腐れ縁というやつなのだが。  長い付き合いだから、きっとその話したい内容というヤツも大した事ではないのは分かっていたけれど。世良田の性格からして、こうやって無視すれば意地でも平次が話を聞くまで食い下がるであろう事は想像に易かった。  仕方なさそうに世良田に視線を向けた平次は、ゆっくりと口を開いた。 「だから、なんやっちゅうんや」 「いや? 興味ないんかなーと思って」  言いながら目の前に突き出された雑誌。  そこには、高校生探偵がどうのというような見出しが躍っていた。  眉間にしわを寄せた平次は、ふいっと視線を外すとぼそりっと呟いた。 「ないな」  そんな平次に、世良田は大げさに驚いてみせた。 「せやかて、高校生探偵やで?」 「あほらし。探偵がそない有名になってどないすんねん。面われたら、めんどうでしゃーないやろ」 「そないなこと、ゆうてもええんか? お前の名前も出てんで。ほれ、西の高校生探偵やて」  雑誌をずいっと突き付けながら言った世良田に、平次は仕方なさそうに視線を向けた。  そこには、工藤新一という高校生が数々の難事件を解決しているというような記事があった。その片隅に書かれていた、関西にも高校生探偵がいるというような文面。世良田が言ったのは、これの事だろう。 「……」 「面白くないっちゅう顔しとるな」  にやりっと笑いながら言った世良田に、平次は馬鹿馬鹿しいというように溜息をついた。 ■ 真実と虚像の硲 ■ A5オフ  20P  平新 イベント販売価格 ¥300 Novel 綾部 澪